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小劇場:番外編・5-1 義兄Mの献身

えーと、今回は結構大きな展開となっております。その前編です。
いつまでも進展しないのもどうか、ということで…。

myuuさんサイドを巻き込み、お互いのキャラを動かしたものを加筆・修正してお送りします。私はいつも通りギリジン視点で描いているため、あちらの人物の考えていることなどは当然分からないという設定です。
そのうちあちら様サイドも公開されると思うので、併せてどうぞ!
(勝手に色々公開してしまい&表現を拝借してしまった箇所がいくつかあります本当に申し訳ございませんっ! あと、事実の不一致などありましたら教えていただきたく!!)

※補足:
 ギリジンは 慎さん×iceさん←ギリジン だと思い込んでます。






【7月某日 某店スタッフ控え室】


 「……今日は、来てくれて有難う。ごめんね? 仕事が忙しいのに……来てもらって。」
 「いえ、気ままな身分ですから。」
 『話したい事がある。』と、簡潔な内容の手紙を受け取ったのが数日前。
 依頼者のところまで出向くことも、ないことはない。
 しかし今回のこれは依頼と呼ぶには具体性や早急性に欠いていた。故に依頼者と呼ぶにはふさわしくない。それ以前に、もっと別の方向性がその手紙からは感じられた。
 この手紙は「探偵」宛ではなく「僕個人」宛なのだ。 ――心当たりは、ある。
 変わらぬ笑顔を向けてくる彼。優しい面立ちだが、その眼は鋭い。鑑査されているのか、それとも……。
 「さて、僕が君を呼んだ理由は。わかる? ……探偵さん?」
 ……思ったよりアプローチが早かった。しかし手法は彼が放つオーラを裏切らない。
 呼ばれた理由、か。彼の表情から察するに、仮説がより真実味を持ったのでこれに答えてみる。
 「iceさんのこと…ですか。」
 彼女に関わらないようにしていたし、あのとき以来ここにも来ていないのだが…そんなに分かりやすかっただろうか。
 彼は目を細めてゆっくりと微笑んだ。
 「……そうだよ。君は、彼女を見ていて……どう思った? 店に来た時、さ。」
 恐い。先が見えそうで見えない。しかしここで逃げてはいけない。もう、そちらには迷惑をかけない…そのことだけでも伝えなければ。
 さて、どう言えば正解なのか。
 「そうですね…明るくて仕事もできて、いいウェイトレスさんだと思いましたよ。」
 悪あがきかも知れない。だが本心を言うのは躊躇われた。
 そんな僕の返答に相手は成る程。と一度だけうなづく。そして今度は苦笑しながら言ってきた。
 「……まぁ、人から見たらそうだろうね。……それで?君は他にも……何か思わなかった?」
 『人から見たら』『他にも』――その言葉から、彼の言わんとしていることが分かる。
 完全に気付かれていた。そして、彼は僕の本心を確かめたがっている。……僕が彼女に恋をした時点で、もう穏便に済ますことはできなくなってしまったのか。
 覚悟を決めるしかなかった。補足はあとですればいい。
 「素敵な女性だと思いました。…これは、初めて彼女を見た時からですけど。」
 そう言って少し後悔した。やっぱりちょっと不発弾気味だったかも;
 にこり。と笑う相手。にこやかで友好的な人ほど手ごわいことは、経験上知っていた。
 僕は逃げられない。それは彼女のためであって


 「そう言ってくれると嬉しいよ。彼女は僕の自慢の『妹』だからね。」


 めまぐるしく回転していた僕の思考はその言葉で強制終了された。
 思わず「…え?」と言ってしまいそうになった。きっと表情には如実に表れていたのではと思われる。
 申し訳ないと…本当に申し訳ないと思いつつ、慎さんの身辺をさらっと調べさせてもらったのだが、iceさんと兄妹関係どころか、親戚にあたるという事実はどこにもなかった。
 (ちなみにiceさんのことは調べていない。知れば知るほどその想いを強くしてしまいそうだったから。)
 エイジが僕に投げかけたことばが蘇る。おそらく、それと似たようなニュアンスなのだろう。
 つまりそれは――彼らは少なくとも、恋愛関係にはないということで。そしてそれを、今、彼が僕に言った意味とは……。
 「………………。」
 言葉が、出ない。
 「あぁ、勘違いしちゃ駄目だよ?彼女は僕の『妹みたいな存在』だからね。 ……ははっ、流石彼女が気に入るだけもある、面白いよ君。」
 …笑われてしまった。だがそれも仕方のないことだと思う。嘲るような感じではなかった…と信じたい。
 彼の言う『勘違い』がどこにかかっているのかも気になったが、それよりも。
 これだけ言えば、彼には伝わるのではと思う。これでも結構思い切った。
 「気に入っていただけて、僕も嬉しいですよ。」
 なんかもう色々と安心した。相手が手ごわいことに変わりは無いけど、立場が全然違う。
 「そっか。……気に入っていただけでってそれだけでいいの? もういっそ全部教えてよ。……『妹』の幸せを願っている僕に。」
 ……表情(カオ)はイタズラっぽく笑ってるのに口調がそうでもない。やっぱりこわいよこの人!
 iceさんは毎日そんな彼と渡り合ってるのか…すごいなぁ。そんな思考内の現実逃避もそこそこに。彼の求める情報を提供しなければ、探偵がすたるというものだ。
 「――好いてます、異性として。「彼女の幸せを願う者」というところは同じですね…と、一緒にしたら失礼かもしれませんが。」
 今なら、笑顔でそう言える。
 「成る程、それが君の本心なんだ。」
 満足してくれた、ように僕には見えた。微笑む彼。「幸せを願う者」というのが同じ。という所に少し違うかな。とつけたし、語る。
 「…んー、まぁ一緒なのは一緒だけど。僕は彼女が幸せになる道を支えているだけで最終的に彼女が幸せになる道を歩くのは、僕じゃないよ。……ま、君になるのかな。それは。」
 随分と思い切ったことを言ってくる人だと思った。ちゃんと会話をするのも今日が始めてなのに。
 しかし彼の言葉を遡ってみると、少なくとも相手はだいたいのことに気付いていたのではというところに落ち着く。
 おそらく、僕が一人相撲をとっていたことにも。
 …………うわぁ。これは結構恥ずかしいぞ。
 「…皆さんを失望させないように頑張りますよ。」
 幸いなことに相手は僕のことを悪くはみていないようだから、これから挽回していきたい。
 『お兄さん』はそのままの笑顔で分かった。とうなづいた。その前に何か言いたげな間があったが僕も無視した。
 「……あの子はね。色々と空回りしちゃうし、スイカを素手で割るとかお姫様抱っこしたい。とかとんでもない事言っちゃうけど……それでも君は、彼女を好いてくれる?」
 今更、こんなことを聞くのは酷だけど。と彼は付け足して。
 峠は越えたのだろうか。手ごわい相手とやりあうのは正直疲れる。
 だが、今回はそれを補って余りあるほどの出来事があった。彼には感謝しなければいけない。
 それにしても、そんな『お兄さん』から得た新情報はこれまた耳を疑うものがある。彼女がネタをいうようには見えない……いわゆる「天然」というやつだろうか?
 意外じゃないといえば嘘になる。まぁしかしそれも、彼女に関する新しい情報を得られたという、喜ばしいことであることに変わりはない。
 秘めてきた想いは、その程度では揺らがない。
 「面白いことを言うんですね。――そんなところも好きですよ。」
 に、と笑いながら、面白い、で済ませられるのが凄いよ。本当に……ありがとね。と言われたところで、小さく戸を叩かれる音。
 「慎さーん、とーまさんがそろそろ人手足りないって怒ってるんですが……」
 扉を挟んで聞こえてくる想い人の声。あせっているようにも聞こえるその声。
 まずい、iceさんだ。お兄さんと和解(?)したとはいえ、流石に今会うわけにいかない。僕は今日、彼に会いに来たのであって……
 「長々と引き止めてしまってすみません。それじゃあ、僕はこの辺で……」
 ドアの手前で、気付く。ここが店内(しかも関係者以外立ち入り禁止の場所)で、1枚隔てたすぐ向こうには彼女がいることに。
 「……裏口とか、ないですか?(汗)」
 「あー、ごめんごめん。今すぐいくからー。」
 へらへらと笑いながら、扉の向こうの主へと語りかける彼。笑いながらも、その手は僕の肩をしっかり掴んでいる。
 「え、ちょ…!」
 そのまま僕を自分の方へと引き寄せると、思いっきり顔を近づけて、にやり。と笑いかけた。
 「……あるわけ、ないでしょ? ここまで来といて今更逃げようなんて考えないでね? 探偵さん?」
 にこにこと笑いながら言う言葉はばっちりドスがきいている。初めて見たと思われる彼の本性は大変おそろしかったです。
 「聞いてないんですけど……!!」
 萎縮する僕に容赦なく、更に優しく微笑んで。
 「……大丈夫。彼女も気に入ってるから……ね?」

 はたと気付く。彼が分かっているであろう確認を繰り返したこと。
 無論「確認のため」もあるのだろうが、…実は時間稼ぎの意味もあったのではないだろうか?
 ちょっと待って心の準備が…! という言葉も、彼の微笑みを見たら飲み込まざるをえなかった。
 その笑顔を見たら、見てしまったら、ただ従うしか道は残されていないのだ。
 情けないことだが、蚊の鳴くような声で「は、はい;;;」と言いながら首肯するのが精一杯だった。
 「よし、いい子だね。……頑張ってね?」
 なめらかながら、相手を凍てつかせることもできる声色で囁かれた「頑張ってね?」の言葉。その意味を反芻する前に肩を解放され、扉は開かれた。
 目の前にいるのは、変わらぬ笑顔を見せた後、なかなか見られない思いっきり驚いた(そりゃそうだ)表情のiceさんその人だった。


【次回につづく】

| Answer×Answer | 22:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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