PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

小劇場・それはまるで闇のように迫る真実(前編)

久々に対話形式のコラボ小話となっております。関係者様に最敬礼を!
myuuさんが先に公開してくださったあの話の、ギリジン視点ver.となっております。

キャラ萌えというか最早二次創作でしかないので、苦手な方はご注意下さい。
複数のお名前お借りしています。問題があるようでしたら当該箇所は削除させていただきますゆえ…。


追記からどうぞ~。




人の記憶はうつろいゆく。
いつか、彼女における自分に関する記憶も消えてくれればいいと思った――

でも、その前に。
一時的にとはいえ仲間の許から離れても、ひたむきな女性がいた。彼女の仲間でもあるアイドルとの邂逅を経て、少しだけ「会って、事情の説明だけはするべきなのかも知れない」と思い始めた頃だった。
何ヶ月かぶりに、手紙が届いた。面会を望む依頼書だった。
差出人は……彼女の『兄』こと慎さんだ。すごいタイミングだった。会わずして心を読まれているような錯覚に陥りそうになる。
しかしそれより、手紙の内容のほうがすごかったかも知れない。前回とは比べ物にならないほど辛辣な言葉が並んでいる。
これは…相手の逆鱗に触れている証拠そのものだ。『兄』たる彼が何を思ってこれをよこしたか、今なら分かる気がする。
怯んではいけない。
説明すると、決めたのだ。最初に説明する相手が変わっただけだ。

面会当日。約束の場所は料亭。
「こちらです」と、案内係の女性。帽子を目深に被っており、見えない視線が向けられているのも少し気になったが、正直それどころではなかった。
正直に答える勇気を奮い立たせるのに必死だったから。

案内された部屋で、彼は静かに座っていた。
組まれた腕。射抜くような眼差し。座るように促す声も低く、さながら圧迫面接だ。
失礼します、と軽く会釈をすると言われたとおりに座した。否応なしに緊張する。
「面会の「ご依頼」をいただきまして…本日は、どのようなご用件でしょうか。」
情けないことだが、声が震えそうだ。

対して彼は、僕から目を離さず「そんな前置きはいらないよ。」と涼しい顔で“挨拶”を受け流す。
「まずは、あのような手紙を送った事を謝るよ。…あれを書いたのはうちの一番格の女性でね。
 どうせなら、と調子に乗って書いたんだ。…本当は、ただ君に色々聞きたい事があるだけなのに。」
すまない。と彼は軽く頭を下げた。
トップの女性…となると、あの店のオーナーだろうか。あまり詳しくは知らないが、きっと目の前の人物に勝るとも劣らないキレ者なのだろう。
あっさりと謝罪の言葉が出たのは多少意外だったが、手紙の文面の理由は理解できた。
いえ…、とつられる形でこちらも頭を下げる。
「聞きたい事、とは何でしょう?」
何となく察しはつくが。
ゆっくりと目を瞑り、彼は語りだした。

「…僕は、つい最近まで名前以外の自分に関する記憶を殆ど失っていた。ドラマみたいな話かもしれないけれど。
だが、それが最近うちの義弟がある人物に会った事で、皮肉にも全て思い出しちゃったんだ。全てね。
記憶がなくなったのは、そいつも関連している。と思って僕は記憶がなくなった原因を探してみたんだ。
そうしたら、悲しき事に君らしき人物の名前が出てきた。
…最初は、違うんじゃないか。と何度も確かめたけど確かめる度に、確信がついてしまってね。…まずは、その事について説明をお願いしようか?」


――全て思い出しちゃったんだ。全てね。――

嘘、だろう。そんな―
じゃあ今、事実を知り全てを悟った上で、この僕と話しているというのか。

己の人生を狂わせたこの僕と。

頭がくらくらした。相手の声がひどく遠くから聞こえる。
言葉が主を離れて勝手に動き出す。
「…その人物が、僕であるという証拠は、あるんですか。」
ああ、僕は何を言ってるんだ。確信しきってる相手に焼け石に水だ。
否。そうじゃない。言うべきことは、考えるべきことはそんなことじゃないだろ。

「…探偵さん、動揺しすぎ。声が震えてる辺りで、もうバレバレだよ。」

どっちにしろ無駄だった。この人にはどんな演技も通用しない。
もう今更悪あがいてもどうしようも無い。その事実を突きつけられ、逆に少しほっとした。
ふぅー、と薄く息を吐くと、視線を落として白状した。
「確かに、貴方の…実兄…に関する情報を流したのは僕です。
結果、あなた方は事件に巻き込まれ、離れ離れになりました。貴方は記憶まで失ったと、そう知ったときには益々申し訳なくなりました。
謝罪します……許してほしいとは言いません。」
「…謝罪はいらないよ。君にも色々事情があるだろうし、記憶を失った事に関しては原因がどうであろうと、恨まないと決めているからね。僕はそんな愚かな人間ではない。」
その言葉に嘘は見えない。本当に、よくできた人だ。謝罪の気持ちは消えないが、少なからず助かったのは事実だ。
そうですか…。と相槌を打ち、恐らく後に控えているであろう本題に備える。
「…で、君は。僕の記憶を失わせて兄ともバラバラになった事で気にして、『妹』がそんな自分とは付き合いたくない。とか落ち込んだから…連絡を絶ったわけ?」
―予想に違わずその時は来た。いつになく素に近いと思われる早口の問い。
彼女のことを思ってのことなのだろう。問いに、そう…と答えようとして、違いに気付いた。
「彼女がそう言ったわけではありませんが…」
当然だ、そんなの。
「共に暮らす兄の人生を壊した奴と、貴方なら関わりたいですか?」
僕なら関わりたくない。絶対に。

「まぁ、確かに普通だったら関わりたくないよねぇ。事件に巻き込まれるの嫌だもんねぇ。」
笑顔だが笑っていない。特にその紅い瞳が。その鋭さが増した。
「…妹の事、馬鹿にしてる? そんな事で怯むような子じゃないんでね。」
「そうじゃありません。でも……」
二の句を継ぐ前に、彼は告げた。繋げることなどできなかった。彼が記憶を取り戻したことと同じくらい、衝撃を受けたから。

「あの子は何処か馬鹿でね、そんな男でもいい。だって言ってた。…愚かだよ。」

しばらく言葉を捜した。沈黙が落ちた。
そこまで思ってくれているなんて。でも、でもそれとこれとは……
「……確かに、彼女は強い女性(ひと)です。僕も、あの世界からは…少なくとも自分は、足を洗ったつもりです。」
貴女が、僕が彼にしたことを赦してくれたとしても。
僕の過去という存在がここに染み付いているんだよ。
「――それでも過去は変わらない。危険が及ぶかも知れない。
こんな奴でもいいなんて……信じられません。」
口ではそう言いつつ、心のどこかで信じたいと叫ぶ自分の声が聞こえる。
嫌気がさした。自分の耳をふさぎたくなった瞬間だった。
不意に、顔を持ち上げられ

パァン――ッ

一瞬目の前が真っ白になった。


(続く)

| Answer×Answer | 00:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://nagaitoru.blog87.fc2.com/tb.php/330-d90752c5

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。