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小劇場・零れ落ちた涙の跡(後編)

前回小劇場「それはまるで闇のように迫る真実(前編)」の続きとなります~。
注意事項は前回と一緒で、オリジナル設定バリバリの2次創作注意! ということで。

何気に今回の小劇場シリーズのタイトルに、あちら様で紹介されてた曲の歌詞使っちゃってゴメンナサイ;
あまりにカッコ良い曲で、すっかりほれ込んでしましました…。
あれは双子さんにぴったりな歌だと思います。
リスペクトの意味も込めて…。

あと、今回は前回以上にそちら様のキャラへの勝手な解釈が含まれております。
「これは違う!」というのがありましたら言っていただけると助かります…(汗)。


週末しかPC触れないこの現状をなんとかせねば…更新遅すぎて本当に申し訳ないです;


続きからどうぞ~。




思わず目を見開いた。乾いた音が耳に届いたのは一拍置いた後だった。
やがて、じん、と頬に痺れに似た痛みがやってきて、ようやく状況を理解する。
突然の平手打ち。
彼は尋ねた。
「……君は、これを痛いと感じる?感じなかったら、それはそれでいいんだけど。
危険が及ぶかもしれない? …そんなの、ホストやってた僕に関わってる時点でもう危険だよ。終わりだよ。
……危険なんて、生きてたら絶対めぐり合う。そうだろう?」

以前入手した「ホストをやっていた」という情報が本当だったことも多少衝撃を受けたが、それよりも。
その顔が、紅い双眸が、あまりにも悲しそうで。
妹を思いながらも、その己のせいで危険に巻き込んでしまっていたかもしれないという、どこか矛盾をはらんだやるせなさ。
カタチは違えど、彼と自分が知っているその切なさが、共鳴し僕に突き刺さる。
そっちのほうが、ずっと痛かった。
この一打で、彼が語りたかったこと。僕はちゃんと受け止められただろうか。
「……そう、ですね。肝心なのは、いかにして乗り越えるか…でしたね。」
そうやって、過去の自分を乗り越えてきたのではなかったか。
呼び覚まされた記憶。また僕は強くなれるだろうか。

「…もし、僕に対して申し訳ないと思うなら、すぐにその過去を振り切れとは言わない。だが、それで彼女を落ち込ませるような事をするな。危険な目にあわせたくないなら君が護ったらいい。支えたらいい。
…過去はいくらでも返せる。人生はまだあるんだから。君はもう繰り返すつもりはないんだろう?
だったら、それだけでいい。恨む理由なんて…もうない。」
見たことの無い彼の姿がそこにあった。どこまでもまっすぐな彼もやはり、とても眩しかった。
「はい。…ありがとうございます。守ってみせます。」
自分も彼女も。涙が零れそうだった。

気付けば、いつもの彼に戻っていた。僕の肩を軽く叩いた。
「よろしい。それでこそ僕の見込んだ男だ。」
また落ち込んだら一喝してあげる。と、いつもの調子で言う彼に内心苦笑しつつ、お世話にならないようにしなきゃなぁとは本気で思う。
「彼女にも…そう伝えなければ、いけませんね。」
そこまでは流石に頼れない。これは、自分の言葉で言わなければならないことだから。
すると相手は大仰にため息をつき、隣の部屋を指差した。
「だったら、隣にいるからすぐに言ってあげなよ。
…今回の、おばかな協力者さんにね♪」

………えっ。

…ええええええええ!! あの女性が?! いや、確かに声は似ていると思ったけど…!
待ち受けているモノに対し必死で気付かなかったというのもあるが、装いでこんなにも変わるものなのか。
彼らしい(と言ってしまっては大変失礼なのだが)チェシャ猫を思わせる笑み。
ひょっとして、全部聞かれていたのだろうか。いや聞かれてただろう隣なんだからさ。
そんなことを考えたら一気に顔が熱くなった。
これは恥ずかしい。すっごく恥ずかしい。
たまらずふきだす仕掛け人。
うぅ、笑われた; まぁ仕方がないのだが…。
「えと……はい;」
目の前の兄にはそう返すのがやっとだった。
襖を開ける一連の動作もぎこちない。失礼します、と声をかけるのを忘れなかっただけまだよかったか。
しかし最後にかけられた言葉はとても優しくて。
「もっと自信を持っていいんだよ。」
「…はい。」
微笑み返せていたと思うのでもういいか。さて…こっからが本番か。

部屋に入ると、彼女は紅を落としていた。そのままでも綺麗なのに。
「…iceさん。」
いつもより色気の増した彼女と、久々の対面だった。
「…ごめんなさい、貴方が絡んでると聞いてどうしても…何かしたかったんです。
こんな事しちゃって…可笑しい、ですよね。」
そんなことない、ドレス姿の君も綺麗だよ。そんな言葉をかけたかった。でも、今は我慢しなければならない。
僕はまだ、彼女にとっては罪深き男なのだ。
恥じらいを見せる彼女に対しただ首を横に振って、自分も正座する。そして、手をついた。
「僕が君のお兄さんにしたことを、許してもらおうとは思わない。
でもこれから先は――どんなことがあっても、君を守る。守ってみせる。」
貴女たちのように、強くなりたい。
「伝えるのが遅くなってごめん。こんな僕だけど…もし君さえよければ、また、一緒にいさせてほしい。守らせてほしい。
償いにもならないけど…そのことだけ、許してください――お願いします。」
頭を下げた。こんなことくらいしかできない僕でも、選んでくれる光があるなら――

「頭を下げないで」と顔を上げるよう促す彼女の声。ゆっくりと語りだした。
「…償いなんて考えないで、言ったでしょう? 私は、『貴方』自身が好きなんです。と。
私の方こそ、一緒にいさせて。…貴方の大事な人でいさせてください。もう、それだけで…いいんです。」
どこまでも優しい彼女の声が心にしみる。彼女の口から聞くと、より一層。
穏やかな笑みを浮かべる彼女が、手袋を外した。
 「…この指輪にかけて、偽りはありません。本当ですよ?」
手袋に隠されていた彼女の左手。その指に輝く指輪を認める。ずっとしていたのか。
自分が渡したそれに誓いを込める彼女に、ますます涙がこぼれ落ちそうだった。
「…っ。ありがとう。絶対に守るからね…愛してる君を。」

――ついでに許してほしい。いきなり近付き、君を抱きしめた僕を。

「…私も、貴方が大好き。……大好き。なの。」
色んな意味で、彼女の温かさに触れるのは久しぶりだった。優しい温度にたまらず涙がこぼれた。
僕もだよ。そう返し、少し身体を離して相手の顔を見つめる。目元から光るひと筋があった。おあいこかな、となぜか思う。顔がほころぶ。
「ドレスの君も、すごく綺麗だ。」


常套句ではあるけれど。
危なっかしさも悲しさも優しさも愛しさも、ふたりあわせて分け合っていけたらいい。
そのためにも、君を守るよ。何度でも誓おう。
瞳を閉じて、化粧気のなくなった唇に自分のそれを合わせた。


(後日談へ)

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